孫子の兵法を全体的にとらえる。

孫子の兵法は雑誌でもよく特集されるが、断片的な知識ではなく、全体的にとらえることもまた必要。翻訳はいろいろあるが、曹操の注釈をメインにした本書は読みやすく、孫子の思想を全体として理解するのにちょうど良い。

戦乱の兵法は、現代企業の戦略に大きな教訓を与える!!
 中国の春秋戦国時代は、国家が分裂して戦乱に明け暮れた時代である。その時代にあって、戦争論をまとめた古典が多数書き上げられた。その中でも古典中の古典が「孫子」である。
 その[孫子]は現代の企業戦略を考える上でも、豊富な教訓を残している。紀元前に書かれた古典は、現代の経営書として読むこともまた可能である。「孫子」の内容は、組織経済学としても有効なのである。
 孫子が書かれてから数百年後、はやり戦乱の時代である三国志の時代に生きた、戦乱の姦雄といわれた曹操は、自ら筆をとって、「孫子」に注釈をつけ、これを大量に筆写させて部下の幹部教育の教科書とした。
 曹操の注釈は、その後の時代の学者によって不当に低く評価されてきたが、経営科学の上で「孫子兵法」を検討した場合、実際の評価に値するのは組織指導者として抜群の歴史的実績をあげた曹操の注釈である。本書は、その曹操の注釈を基にして、わかりやすく訳し、解説したものである。
 戦略論としての「孫子」を読むには、やはり突出した戦略家であった曹操の注釈によるのが適当であろう。                           (以上 紹介文より)

2001年4月頃にこの本(曹操注解「孫子の兵法」)を買った後
少し読んだままで本棚のコヤシとなっていた。

 今朝、ニッポン放送買収劇に新たな役者として登場したソフトバンク・インベストメントSBI最高経営責任者(CEO)の北尾吉孝(54)をテレビで見た。
北尾氏は論語に精通しているとのこと。

このニュースを見ながら「孫子の兵法」を思いだし手に取る。


1998年11月25日 1刷発行
2001年 7月25日 4刷発行
著者 中島 悟史(なかじま・さとし)
【著者紹介】
東京都生まれ。成城大学大学院経済研究科博士課程前期修了,経済学修士
政治行政生産性研究所設立。専門は経済哲学。
理念と現象の両面を洞察した世界の創業者、経営思想に関する多数の論文・研究を発表。
著書は「神様になる前の松下幸之助」「シーザーの大戦略」(ビジネス社)
松下幸之助・日本はこう変えなはれ」(ダイヤモンド社)など。


・・・・この歴史背景を「孫子兵法」を読もうとする人はよく頭に入れておかねばならない。
したがって「孫子兵法」の戦術は、みずから闘争の混乱を追い求めてトップ・シェアをめざすベンチャーの経営であり、安定と秩序を重視する超大国や大企業の保守的な組織には必ずしもなじまない。むしろ取捨選択と解釈を誤ると大きな失策や邪道にもなりかねないのである。
(「はじめに」より) 

第1章 計篇
曹操 計略とは、まず指導者を選び、ライバルの情報を分析し、基本的な条件を検討し、兵力を総動員して、君臣の極秘の会話ができる廟堂において距離の遠近、行路の険易など具体的な戦略について勝算をシュミレーション上の計数で事前に確認しておくことだ。